『のんびりのびのび』小話

空気がやわらいできたな、と思っていたら、いつのまにか四月。
季節の変わり目はとりわけ、人の動きがよく見える時期です。
新しい場所へ向かう人、迷いなく前へ進む人…
そうした姿を目にすると、自分はどうだろう、と心がそわそわする瞬間もありますよね。
そんなときは、ふと自然に目を移してみてください。
道ばたの草木や、境内の木々。静かにそこにあるものが、意外と多くのことを語ってくれます。
木は勢いよく枝を伸ばすときもあれば、花は時間をかけて蕾の形を整えます。
気温や天気に振り回されながら、ゆっくりと季節に馴染んでいく植物もあります。
それぞれの速度があって、どれが正しいというわけではありません。その命が、その流れで生きている。ただそれだけです。
ー 脚下照顧 ー
まずは落ち着いて、自分自身を振り返ってみましょう。
もし焦りが胸のどこかで芽吹きそうになったら、他人の歩幅ではなく、自分の呼吸にそっと戻ってみてください。
今日の自分が無理なくできることを、一つだけ選ぶ。たったそれだけでも、心はすっと落ち着きを取り戻していきます。
合掌
※脚下照顧(きゃっかしょうこ)。「足元を照らし見よ」という意味。焦ったときや、他人にあれこれ求める前に、自分自身の心に立ち返りなさい。
自分自身のあり方を見つめるには、自分の足元を見ることが大切である。悟りへ導く禅語の一つです。