『秋土用に、向けて― 季節の変わり目に身体と暮らしを整える』 小話

10月20日から、秋土用に入ります。
「土用」と聞くと、「土用の丑の日」を思い浮かべる方も多いかもしれません。
けれども、土用は夏だけにあるものではありません。
春・夏・秋・冬、それぞれの季節の終わりに設けられた、季節の変わり目の期間を「土用」といいます。
秋土用は、秋から冬へと季節が移り変わる時期。
朝晩の冷え込みが増え、日が暮れるのも早くなり、少しずつ冬の気配が感じられるようになります。
こうした季節の変化に合わせて、昔の人々は暮らし方を少しずつ変えてきました。
秋土用もまた、そんな先人たちの知恵を思い出させてくれる時期なのだと思います。
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土用は「季節の変わり目」です
土用とは、立春・立夏・立秋・立冬の前にある約18日間を指します。
秋土用であれば、立冬を迎える前の期間。
つまり、秋の終わりから冬へと移り変わる時期です。
季節の変化は、景色だけに現れるものではありません。
朝晩の気温が下がり、空気が乾燥し、日照時間も短くなっていきます。
私たちの身体も、そうした自然の変化の影響を受けながら暮らしています。
「最近、朝起きるのが少しつらい」
「日中と朝晩の気温差が大きくなった」
「なんとなく身体が重い」
そんな変化を感じることもあるでしょう。
季節の変わり目だからこそ、いつも以上に身体の声に耳を傾ける。
それも、土用の過ごし方の一つなのかもしれません。
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土用には、もう一つ特徴的な習わしがあります。
それが、
「土を動かさない」
というものです。
昔の暦では、土用の期間は土公神という土を司る神様が土を支配すると考えられていました。
そのため、この時期に土を掘ったり、庭をいじったり、建築などで大きく土を動かしたりすることは避けた方がよい、とされてきました。
土を粗末に扱えば災いを招く。
土を休ませることで、無事に季節を越える。
そうした考え方が、昔から伝えられてきたのです。
現代の私たちが、これを絶対的な決まりとして受け止める必要はありません。
しかし、その背景にある、
「自然には自然のリズムがある」
という考え方には、今の暮らしにも学ぶところがあるように思います。
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そういうわけで、私も土用の期間は庭の草抜きをひとまずお休みすることにしています。
とはいえ、庭の草は暦など気にしてくれません。
雨が降れば伸びますし、日が差せばまた伸びてきます。
「少しだけなら……」と庭に出たつもりが、気づけば夢中になって草を抜いている。
そんなこともあります。
それでも、土用の時期には、
「今は土を休ませる時期」
と意識してみる。
それだけでも、普段とは少し違った時間の過ごし方ができるのではないでしょうか。
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どうしても土を扱うときは「間日」
もちろん、現代の生活では、土用だからといって、すべての作業を止めることはできません。
農作業や庭の手入れ、工事など、どうしても土を扱わなければならないこともあります。
そこで、昔から設けられているのが、
「間日(まび)」
です。
間日とは、土用の期間中でも、土公神が土を離れる日とされ、その日は土を動かしても差し支えないと考えられてきました。
2026年(令和8年)の秋土用では、次の4日間が間日にあたります。
- 10月24日(土) 未(ひつじ)の日
- 10月26日(月) 酉(とり)の日
- 10月28日(水) 亥(い)の日
- 11月5日(木) 未(ひつじ)の日
庭仕事や土を扱う作業を予定している方は、こうした暦を参考にしてみるのもよいでしょう。
また、土用に入る前から続けている作業については、そのまま続けてもよいとする考え方もあります。
昔の暦は、何もかもを「してはいけない」と縛るものではありません。
自然の流れを意識しながら、
「いつ行うか」
を考えるための知恵でもあったのでしょう。
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秋土用を迎える頃には、山の木々も少しずつ色づき始めます。
夏の名残を感じていた季節から、秋が深まり、やがて冬へ。
私たちの暮らしも、少しずつ冬に向けて準備を始める時期です。
衣替えをする。
暖房器具を準備する。
布団を入れ替える。
夏の間に使っていたものを片付ける。
食生活を少しずつ温かいものへ変えていく。
こうした一つひとつの行動も、考えてみれば「季節に合わせて暮らす」ということです。
昔の人々は、こうした季節の変化をもっと身近に感じながら生活していたのでしょう。
暦には、そうした暮らしのリズムが刻まれています。
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現代では、時計を見れば正確な時刻が分かり、スマートフォンを開けば天気も気温もすぐに分かります。
便利になった一方で、季節の変化を昔ほど意識しなくなったのかもしれません。
けれども、少し外に出てみれば、
風が冷たくなっている。
夕暮れが早くなっている。
虫の声が変わっている。
木々の葉が色づき始めている。
自然は、静かに次の季節へ向かっています。
暦は、その変化に気づくための一つの目印です。
「今日は秋土用だから、少し身体を休めよう」
「そろそろ冬の準備を始めよう」
「庭の手入れも、少し焦らずにやろう」
そんなふうに暦を生活の中に取り入れてみると、いつもの一日も少し違って見えてくるかもしれません。
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私たちはつい、
「今のうちにやっておこう」
「まだ大丈夫」
「もう少し頑張ろう」
と、自分を動かし続けてしまいます。
けれども、自然界には「休む」という時間があります。
木々は葉を落とし、土は次の季節を迎えるために静かに休みます。
一年を通して、ずっと同じ状態であり続けるものはありません。
人間も同じです。
頑張る時があれば、休む時もある。
前へ進む時があれば、立ち止まる時もある。
土用という昔ながらの習わしを眺めていると、そんな当たり前のことを思い出します。
「何もしない」ということは、決して怠けることではありません。
次に動き出すために、力を蓄える時間でもあります。
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秋から冬へ向かうこの時期は、気温の変化も大きくなります。
朝晩の冷え込みに備え、睡眠や食事にも少し気を配りたいところです。
温かいものをいただく。
十分に眠る。
身体を冷やしすぎない。
疲れたときには無理をしない。
そして、少しでも体調に変化を感じたら、早めに休む。
特別なことではありません。
けれども、こうした小さな心がけが、これから迎える冬を健やかに過ごすための土台になります。
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さいごにまとめ、
土用は、単に「土を触ってはいけない期間」というだけではありません。
季節の変わり目に、
少し立ち止まり、
身体を整え、
自然の流れに目を向ける。
そんな時間として捉えてみると、また違った意味が見えてきます。
昔の人々は、自然を自分たちの都合だけで動かすのではなく、自然のリズムを感じながら暮らしていました。
私たちも、すべてを昔と同じようにする必要はありません。
ただ、忙しい毎日の中で、
「今はどんな季節なのか」
「身体は無理をしていないか」
「少し休んだ方がよいのではないか」
と、自分自身に問いかけるきっかけとして、暦を取り入れてみる。
それだけでも、暮らしに少し余白が生まれるように思います。
10月20日から始まる秋土用。
秋の深まりを感じながら、冬を迎える準備を少しずつ始めてみてはいかがでしょうか。
土を休ませる。
身体を休ませる。
そして、心にも少し余白をつくる。
季節が変わるときには、私たち自身もまた、少しずつ変わっていけばよいのだと思います。
この秋が、皆さまにとって穏やかで健やかな季節となりますように。
ここまで長文を読んでくださり、ありがとうございました。
合掌